- 更新日:2024.08.22
- #交通事故
- #後遺障害等級12級
- #慰謝料
【弁護士が解説】交通事故の後遺障害等級12級各症状と慰謝料相場
この記事を読んで理解できること
- 後遺障害等級12級の14種類の症状まとめ
- 損害賠償金の種類と3つの算出基準
- 後遺障害等級12級の2つの慰謝料と相場
- 後遺障害等級12級で慰謝料以外にも請求できるお金がある
- 適切な等級に認定してもらうための流れとポイント
- 後遺障害等級12級の慰謝料請求は弁護士に依頼するのがおすすめ
- 後遺障害等級12級の各号の症状
あなたは、
「後遺障害等級12級の症状とは?」
「後遺障害等級12級の慰謝料はいくら?」
「後遺障害等級12級に認定されるにはどうしたらいいの?」
という悩みや疑問をお持ちではありませんか?
結論から言うと、後遺障害等級12級とは、眼・関節・指などに後遺障害が残った場合に認定されるもので、症状によって12級1号~14号まであります。
後遺障害等級が認定されることで、被害者は、「後遺障害慰謝料」という慰謝料がもらえます。
この「後遺障害慰謝料」には、3つの算出基準があり、次に示すようにどの基準で算出するかによって金額が大きく変わってきます。
このように、裁判基準で慰謝料を算出すると、被害者がもらえる慰謝料は最も大きくなります。
例えば、後遺障害等級12級の場合は、自賠責基準と裁判基準では、もらえる慰謝料の金額が約3倍も差があります。
1番高い裁判基準での慰謝料をもらうためには、弁護士に依頼することが必須です。
というのも、保険会社は、できるだけお金を払いたくないので、自賠責基準や任意保険基準で算出することで安く済ませようとするからです。
また、弁護士に依頼することで、複雑な手続きや示談交渉なども対応してくれるので、ぜひ1度は交通事故専門の弁護士に相談することをおすすめします。
そこでこの記事ではまず、12級の各号の症状、慰謝料の3つの算出基準やもらえるお金について解説します。
さらに、後遺障害等級認定までの流れやポイント、弁護士に依頼するメリットについても解説します。
知りたいところから読んで、これからの行動に活用してください。
目次
- 1章:後遺障害等級12級の14種類の症状まとめ
- 2章:損害賠償金の種類と3つの算出基準
- 3章:後遺障害等級12級の2つの慰謝料と相場
- 4章:後遺障害等級12級で慰謝料以外にも請求できるお金がある
- 5章:適切な等級に認定してもらうための流れとポイント
- 6章:後遺障害等級12級の慰謝料請求は弁護士に依頼するのがおすすめ
- 7章:後遺障害等級12級の各号の症状
- 7-1:1号)1眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
- 7-2:2号)1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
- 7-3:3号)7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
- 7-4:4号)1耳の耳殻の大部分を欠損したもの
- 7-5:5号)鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
- 7-6:6号)1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
- 7-7:7号)1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
- 7-8:8号)長管骨に変形を残すもの
- 7-9:9号)1手のこ指を失ったもの
- 7-10:10号)1手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
- 7-11:11号)1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの
- 7-12:12号) 1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの
- 7-13:13号) 局部に頑固な神経症状を残すもの
- 7-14:14号) 外貌に醜状を残すもの
- まとめ
1章:後遺障害等級12級の14種類の症状まとめ
後遺障害等級12級については、交通事故との因果関係が認められる障害のうち、目や歯、耳、指、など、14種類の症状が各号にて規定されています。各号の中には、決まった検査項目や基準値などが規定されていないものも多くあります。
また、医師の方でも、後遺障害に詳しくない方もおられますし、適切な検査をする機材をどこの病院でも揃えているわけでありません。
2章:損害賠償金の種類と3つの算出基準
この記事の始めに、後遺障害慰謝料とそれを決める3つの算出基準の話をしました。
交通事故の損害賠償金としてもらえるお金には、後遺障害慰謝料のほかに、治療費や働けなくなった期間の補償などいろいろな種類があります。
さらに、どの算出基準を適用するかによって、もらえるお金には大きな差が生じます。
この章では、後遺障害慰謝料を含めた、交通事故の損害賠償金の種類と、3つの算出基準について解説していきます。
2-1:損害賠償金の種類
交通事故で後遺障害等級が認定された場合、状況に応じて次のような損害賠償金をもらうことができます。
よく言われる「慰謝料」とは、この損害賠償金の中の一部に過ぎないのです。
それぞれ簡単に説明すると以下の通りです。
<3つの算出基準によって金額が大きく変わるもの>
・入通院慰謝料…入院・通院の期間や日数に応じて支払われる慰謝料。
・後遺障害慰謝料…後遺障害等級に応じて支払われる慰謝料。
・死亡慰謝料…被害者が死亡した場合に支払われる慰謝料。
・休業損害・・・事故によって働けなくなった期間の、失われた収入について支払われる。
・逸失利益・・・後遺障害が残り、将来得られるはずの収入が減少してしまう場合に支払われる。
<主に実費が支払われるもの>
・治療費・・・治療にかかったお金で、保険会社から病院に直接支払われることがほとんど。
・交通費・・・治療のための通院にかかった交通費。
・入院雑費・・・入院の際にかかった生活必需品などの雑費。
・付添看護費・・・被害者の症状が重い、被害者が乳幼児などの場合で、看護が必要なときに支払われる。
・介護費・・・ケガにより介護が必要になった場合に支払われる。
・装具・器具費・・・事故により歩行が困難になるなど、装具・器具が必要になった場合に支払われる。
・家屋改造費、自動車改造費・・・車椅子生活になるなどで、家や自動車の改造が必要になった場合に支払われる。
・葬儀費用・・・事故によって亡くなった場合に支払われる。
このうち、金額が大きくなりやすい「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」は3章で、「休業損害」「逸失利益」は4章で詳しく説明します。
2-2:損害賠償金の3つの算出基準
損害賠償金の中には、後遺障害慰謝料や入通院慰謝料など、3つの算出基準によって大きく金額に差が出るものがあります。
○自賠責基準:自賠責保険が定めた最低限度の基準
○任意保険基準:任意保険会社が独自に定めた基準
○裁判基準:過去の判例をもとに、弁護士に依頼することで得られる最も高額な算出基準
上図のように、自賠責基準は、自賠責保険による被害者救済のための最低限度の補償です。
任意保険基準は、任意保険会社が独自で定めた算出基準で、一般的には自賠責基準に多少増額した補償金額となっているようです。
裁判基準は、最も高額な補償となります。
一例として、自賠責基準と裁判基準の後遺障害等級12級の後遺障害慰謝料を比較してみると、自賠責基準が93万円、裁判基準は290万円となります。
裁判基準の後遺障害慰謝料は、自賠責基準の補償額の3倍以上となります。
次の3、4章では、自賠責基準と裁判基準それぞれの賠償金額を比較しながら解説していきます。
「任意保険基準の賠償金額」
各保険会社が独自の基準で設定していますので具体的な金額は公開されておらず、正確に計算、比較することができません。
一般的には自賠責基準と同程度か多少増額した査定金額となっているようです。
3章:後遺障害等級12級の2つの慰謝料と相場
後遺障害等級12級の損害賠償項目の中に、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料があります。
入通院慰謝料は、入院、通院期間によって算出され、後遺障害慰謝料は、その等級によって限度額が決められています。
3-1:入通院慰謝料
交通事故の被害者が、入院、通院にかかる治療費や交通費だけでなく、その期間の精神的損害に対する賠償として、入通院慰謝料があります。
ここでは、入院が6ヶ月、通院が3ヶ月(その内、病院にかよった日数は30日)の場合を想定して、自賠責基準の計算方法と補償額、裁判基準の補償額を比較していきます。
■自賠責基準の計算方法
自賠責基準では、一日あたりの補償額が4200円と決められています。
それに、入通院期間の日数をかけて計算します。
入通院期間の日数の算出方法として、
①実際に病院に入院、通院した日数
今回の例では、入院6ヶ月(180日)、通院期間3ヶ月のうち実際に通った日数(30日)で、合計210日
②入通院期間の日数
入院6ヶ月(180日)と通院期間3ヶ月(90日)で、合計270日
ここで、①の210日を2倍した420日と、②の270日を比べて、少ないほうを入通院日数とします。
4200円×270日=113万4000円
自賠責基準の入通院慰謝料は、113万4000円となります。
ただし、自賠責保険の場合は、傷害による損害の限度額は、治療費などを含めて120万円と決められているので、実際には、自分で請求しても、自賠責基準で計算した慰謝料すらもらえないこともあります。
■裁判基準の補償額
裁判基準の入通院慰謝料は、入院期間、通院期間をもとに、2つの表として定められています。
「別表1」が、通常の傷害による場合、「別表2」が、むちうちなど他覚症状がない場合の入通院慰謝料となります。
今回の例、入院6ヶ月、通院3ヶ月の場合、
・通常の傷害による入通院
・むちうちなど、他覚症状がない入通院
自賠責基準の入通院慰謝料は、113万4000円でしたが、
裁判基準では、267万円(または、172万円)となり、
金額に大きな差が見られます。
3-2:後遺障害慰謝料
交通事故が原因で後遺障害が残ったとき、医師に後遺障害診断書の作成を依頼して、後遺障害認定の申請を行ないます。
そして、後遺障害と認定された場合、その等級に対応した後遺障害慰謝料を請求することができます。
○後遺障害等級12級の後遺障害慰謝料
後遺障害等級12級の、後遺障害慰謝料として、自賠責基準で定められた補償金額は93万円、裁判基準で定められた後遺障害慰謝料は290万円となっています。
後遺障害慰謝料も、自賠責基準より裁判基準のほうがかなり高額になります。
4章:後遺障害等級12級で慰謝料以外にも請求できるお金がある
この章では、交通事故によるケガが原因で、働けなくなった期間の、収入に対する損害の補償を見ていきます。
4-1:休業損害
休業損害とは、交通事故の被害者がケガのために働けず、その期間に得られなかった収入に対する補償のことです。
交通事故で休んだために会社から支払われなかった給与やボーナスなどが対象です。
休業損害の計算は、まずあなたが仕事で得られるはずだった1日当たりの収入「日額基礎収入」を算出し、ケガのために働けなかった「休業日数」をかけて計算します。
「休業損害」=「日額基礎収入」×「休業日数」
日額基礎収入の算出方法は所得の種類によって異なり、また休業日数は治療期間中、実際に休んだ日数ではなく、ケガの内容、程度、治療過程や仕事の内容などによって妥当な日数が算出されます。
ここで、例として被害者が会社員(給与所得者)の場合の計算方法を解説します。
○被害者
・39歳会社員
・事故前3ヶ月の給与120万円、出勤日数65日
・事故によるケガで、仕事を210日休業した場合
■自賠責基準の場合
自賠責基準の休業損害の計算方法では、日額基礎収入が、1日5700円と決められています。
これに休業日数の210日をかけて、
5700円×210日=119万7000円 となります。
■裁判基準の計算方法
裁判基準の日額基礎収入は、自賠責基準のように定額ではなく、交通事故前3か月分の収入をもとに、日額基礎収入を算出します。
場合によっては、交通事故前1年分の収入を元に計算を行う場合もあります。
※3ヶ月で年間収入の平均を計算できない場合は、事故前1年間の収入を365日で割ります。
給与の合計額とは、基本給に残業代や手当などを足した支給額のことです。
税金、社会保険料などの各種控除が差し引かれた差引支給額ではありません。
ここではボーナスは含みません。ボーナスも減少してしまったという場合は、別途計算して請求します。
事故前の給与の証明として、会社から「休業損害証明書」と「源泉徴収票」を作成してもらい、それを保険会社に提出する必要があります。
「休業日数」には、交通事故の治療のために有給休暇を使った場合、その有給休暇も含めて計算できます。
今回の例の休業損害を、裁判基準で計算していきます。
事故前3ヶ月の給与120万円を、出勤日数65日で割り、日額基礎収入を出します。
120万円÷65日=18461円
この日額基礎収入に、休業日数をかけて、
18461円×210日=387万6810円
自賠責基準の休業損害は、119万7000円、対して裁判基準では、387万6810円となります。
休業損害の詳しい内容は、こちらをご覧ください。
【交通事故の休業損害とは】相場一覧と高額請求する方法を徹底解説
4-2:逸失利益
逸失利益とは、交通事故による後遺障害や死亡によって失われた、将来得られるはずの利益に対する賠償のことです。
被害者の現在の収入、年齢や後遺障害の等級をもとに計算します。
ここで、具体例として、
・39歳男性、会社員
・年収500万円
・後遺障害等級12級7号
の場合を解説します。
■自賠責基準の場合
自賠責保険の基準では後遺障害等級12級の、後遺障害による損失の限度額(逸失利益と後遺障害慰謝料の合計) は、224万円となっています。
つまり、第3章で解説した自賠責保険の後遺障害慰謝料が、限度額93万円でしたので、逸失利益の補償金としては、131万円が限度額となります。
■裁判基準
後遺障害の逸失利益の計算方法は、以下の通りです。
各項目、順番に解説していきます。
○基礎収入の計算
・【会社員(給与所得者)】
会社員の場合は、事故前1年間の実際の収入額を、基礎収入として計算します。
・【個人事業主(事業所得)】
個人事業主の場合は、前年の確定申告で申告した金額を実際の収入として計算します。
・【会社役員(役員報酬)】
会社役員の場合は「労働の対価」として認められる部分のみが、基礎収入として計算できます。
・【専業主婦】
専業主婦の場合は、原則的に「賃金センサス」女性労働者の全年齢平均賃金を基礎収入として計算します。
「賃金センサス」とは厚生労働省の統計のことで、平成30年の女性労働者の全年齢平均給与額は382万6300円ですので、日額基礎収入は10483円となります。
・【学生】
学生の場合も専業主婦と同様に、「賃金センサス」における全年齢平均賃金を基礎収入として計算することが多いですが、その場合も、実際に働くことができる年までの分は控除されます。
こうして、それぞれの収入形態ごとに算出していきます。
○労働能力喪失率
労働能力喪失率とは、後遺症によって失われた労働力を、後遺障害の等級に応じた喪失率を定めたものです。
【介護が不要な後遺障害の場合】
後遺障害等級12級の労働能力喪失率は、14%となります。
○労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
「労働能力喪失期間」とは、原則として「症状固定(治療してもこれ以上改善されないという診断)」の日から、67歳までの期間とされます。
例えば39歳で症状固定になった場合は、
67歳-39歳=28年
と計算でき、労働能力喪失期間は28年になります。
ライプニッツ係数とは、この労働能力喪失期間の中間利息を控除するための数値です。
この年齢に対応した「ライプニッツ係数」を下記の表から探します。
39歳(労働能力喪失期間は28年)の場合、ライプニッツ係数は「14.898」であることが分かります。
実際に計算すると、
年収500万円×労働能力喪失率0.14×ライプニッツ係数14.898=1042万8600円
裁判基準での逸失利益は、1042万8600円
となります。
後遺障害等級12級の被害者が、後遺障害による逸失利益として受け取れる金額は、自賠責基準の場合、131万円までとなっています。
裁判基準の逸失利益としての補償額は、自賠責基準より900万円以上高額となります。
5章:適切な等級に認定してもらうための流れとポイント
後遺障害等級認定の審査は、妥当な後遺障害等級を認定してもらうために、以下のポイントを押さえて行動することが大事です。
後遺障害等級12級にあたる症状には、間接が曲げづらい、緩むといった症状や、むちうちのように痛みや痺れをともなう症状などがあります。
これらの症状で認定を得るためには、レントゲンなどの画像だけでなく、頑固な神経症状も医学的に証明しなければなりません。
そのためには、できれば事故後の早い段階から、弁護士のアドバイスや、認定に必要な各種の検査などを受けられることをお勧めします。
また、加害者側の保険会社との対応で、特に重要なのが、保険会社の言うままに行動しないということです。
保険会社は、
「そろそろ治療費を打ち切ります」
「そろそろ症状固定にしましょう」
などと一方的に言ってくることがあります。
しかし、保険会社の言うままに行動すると、妥当な後遺障害等級が認定されず、慰謝料の金額が大幅に少なくなってしまう可能性があります。
そのため、保険会社の言うままに行動せず、連絡が来たら弁護士に相談することをおすすめします。
後遺障害が残ってしまった場合のやるべきことについて、以下の記事で流れとポイントを詳しく説明しています。
6章:後遺障害等級12級の慰謝料請求は弁護士に依頼するのがおすすめ
交通事故で後遺障害が残った場合は、早い段階で弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士のメリットと弁護士費用について説明します
6-1:早めに弁護士に依頼するメリット
弁護士に依頼すべきなのは、
- 医師の指示のもと、適切な内容の後遺障害診断書を作成してもらえるため、妥当な後遺障害等級が認定される可能性が高まる
- 慰謝料の金額が「裁判基準」で計算され、慰謝料が高額になる
- 妥当な過失割合になり、慰謝料が増える場合がある
- 面倒な手続きを任せられ、手間、時間、ストレスが最小限になる
といったメリットがあるからです。
特に重要なのが、慰謝料の計算基準が「裁判基準」になるという点です。
2章で説明した通り、慰謝料などの計算には、3つの基準があり、弁護士に依頼した場合に適用される「裁判基準」が最も高額になります。
しかし、あなたが自分で請求しても、「裁判基準」が適用されることはほぼあり得ません。
そのため、より高額の慰謝料を請求したい場合は、弁護士への依頼が必須となります。
慰謝料の基準や相場について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
【弁護士が解説】交通事故の慰謝料を1円でも多くもらうための全知識
6-2:弁護士費用を抑えるポイント
あなたは、
「弁護士に依頼したいけど、費用がかかりそうだから?」
と思われていませんか?
もし、あなたやあなたのご家族が加入している保険に、弁護士費用特約が付いていれば、弁護士費用の負担は原則0円になります。
また、弁護士費用特約がなくても、「相談料・着手金0円」「増額した場合のみ成功報酬が発生する」という費用体系を導入している事務所ならあなたの負担は非常に小さくてすみます。
まずは、弁護士にご相談ください。
弁護士費用について詳しく知りたい場合は、以下の記事をご覧ください。
【保存版】交通事故に強い弁護士の選び方と0円で依頼する方法を解説
7章:後遺障害等級12級の各号の症状
後遺障害等級12級、各号の症状を表す文章はかなり難しく、わかりづらいので、詳しく解説していきます。
7-1:1号)1眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
眼の調節機能とは、遠くの物や近くの物を見るときに、ピントを合わせる眼の働きのことです。
この眼の働きを、レンズの度の強さに置き換えて調節力として表します。
著しい調節機能障害とは、健常な眼の調節力と比較して、1/2以下となっているかで判断します。
ただし、健常な眼の調節力が1.5D以下のときや、年齢が55歳以上の場合は、実質的な調節機能を失っているとして、障害の対象にはなりません。
次に、著しい運動障害を残したものとは、頭を固定して、眼球運動だけで見える範囲(注視野)を測定したとき、その(注視野の)広さが1/2以下となった状態です。
7-2:2号)1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
まぶたの著しい運動障害とは、まぶたを閉じたときに角膜を完全に覆えず、また開いたときに瞳孔が隠れたままで開ききれない状態をいいます。
1眼のまぶただけの場合は、この12級2号となり、両眼に及ぶと11級2号となります。
7-3:3号)7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
交通事故によって、歯を7本以上喪失した、または著しく欠けるなどして歯科医師による治療(歯科補綴)を受けたものです。
歯を喪失した場合には抜歯も含み、また著しく欠けた状態とは、歯肉より露出している部分(歯冠部)の体積の4分の3以上を失った場合を指します。
損傷した本数によって後遺障害等級も別に指定されていて、10歯以上で11級、14歯以上で10級となります。
7-4:4号)1耳の耳殻の大部分を欠損したもの
耳の外側の部分が、半分以上欠損した状態です。
聴覚の機能障害ではなく、醜状が障害として認められています。
7-5:5号)鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
交通事故によって、鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨の変形が、外見上確認できる状態です。
変形した骨の本数、状態には関係なく、あくまで視認できるかが基準となっています。
骨の変形だけでなく、鎖骨、けんこう骨では肩の可動域に、骨盤骨では股関節の可動域に、影響が出ることもあるようです。
次の、6号、7号に該当する場合もあるので、合わせて検査されることをお勧めします。
7-6:6号)1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
上肢の3大関節とは、肩、肘、手首のことを指します。
関節の機能障害とは、障害を負った関節の可動域が、健常な関節の可動域の3/4以下になった状態です。
図では、最も多様な可動域を持つ肩関節の例を上げています。
手の場合は、手のひらを反す回外、回内運動の可動域が1/2以下になった状態をいいます。
7-7:7号)1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
下肢の大関節とは、股関節・膝・足首のことを指します。
この中の1関節が、6号の上肢と同じように、障害を負った関節の可動域が、健常な関節の可動域の3/4以下になった状態をいいます。
7-8:8号)長管骨に変形を残すもの
長管骨とは、長い骨のことで、腕の上腕骨、橈骨、尺骨、足の大腿骨、腓骨、脛骨を指します。
この骨が、事故による骨折で完治せず、変形した状態をいいます。
また、関節と接する骨の端の部分(骨端部)の損傷や欠損、骨の中央部分(骨幹部)の骨折がもとのように治りきれずに、その部分で曲がってしまうなどの不完全な再生(癒合不全)などがあげられています。
7-9:9号)1手のこ指を失ったもの
片方の手の、こ指を失った状態です。
日常生活で、物をつかんだりするとき、こ指がないと握力がかなり落ちてしまいます。
労働能力にも、大きな影響が出るようです。
7-10:10号)1手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
片方の手の、人差し指、中指または薬指が、
・半分以上失ってしまった
・第2関節より先の可動域が、1/2以下になった
・指先に痛みや感覚の麻痺がある
状態です。
7-11:11号)1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの
・片方の足の、人差し指にあたる指を失ったもの
・片方の足の、人差し指にあたる指と、もう1本の指を失ったもの
・片方の足の、中指、薬指、こ指にあたる足3本を失ったもの
7-12:12号) 1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの
・片方の足指の、親指にあたる指の第1関節が1/2になったもの
・片方の足指の、親指にあたる指以外の足指が根元から第一関節の間で切断されたもの
・片方の足指の、親指にあたる指は第1関節、それ以外の指は根元から第2関節にかけての可動域が2分の1以下になったもの
7-13:13号) 局部に頑固な神経症状を残すもの
むちうちによくある、痛みやしびれなどの自覚症状をよく上げられますが、認定を得るのはなかなか難しいようです。
まず、初診時に骨折や脱臼、または器質的損傷が、画像検査にて認められていることが前提条件となります。
さらに、ここでいう頑固な神経症状とは、医学的に証明できる神経症状をいいます。
知覚障害、局部のしびれ感、麻痺があるときに、それがレントゲン・CT・MRI・脳波検査・筋電図等の検査によって証明される場合となります。
7-14:14号) 外貌に醜状を残すもの
交通事故によって、外見として大きな傷跡が残った場合をいいます。
具体的には、頭にニワトリの卵より大きい傷跡が残った場合や、顔に10円玉サイズ以上の傷跡や長さ3cm以上の線上の傷跡が残った場合などを指し、男女の差はありません。
以上、後遺障害等級12級の各号の症状を解説しましたが、わかりにくいところも多いと思います。
まとめ
いかがでしたか?
ここまで、後遺障害等級12級について解説してきました。
最後に今回の内容をまとめます。
後遺障害等級12級の14種類の症状まとめ
後遺障害慰謝料の計算で大事な3つの算出基準
後遺障害慰謝料の算出基準として、
○自賠責基準:自賠責保険が定めた最低限度の基準
○任意保険基準:任意保険会社が独自に定めた基準
○裁判基準:過去の判例をもとに、弁護士に依頼することで得られる最も高額な算出基準
この3つの算出基準があります。
後遺障害等級12級の2つの慰謝料と相場
・入通院慰謝料…入院、通院による精神的損害に対する慰謝料
・後遺障害慰謝料…後遺障害による損害に対する慰謝料。後遺障害等級ごとに補償金額が定められています。
後遺障害等級12級で慰謝料以外にも請求できるお金がある
・休業損害…治療期間の収入減に対する補償
・逸失利益…将来の減収に対する補償
適切な等級に認定してもらうための流れとポイント
弁護士に依頼するメリット
この記事の内容を参考にして、これからの行動に役立ててください。
弁護士選びや弁護士費用について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
【保存版】交通事故に強い弁護士の選び方と0円で依頼する方法を解説