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【完全版】労働条件が変更される場合に知るべきこと&ケース別対処法

QUEST法律事務所

代表弁護士住川 佳祐

労働条件を変更されるのは問題ない?
経営者(本音)
今月から賃金を減らす!
経営者(本音)
うちの会社も、裁量労働時間制を取り入れることにしよう。

このように、はじめに決めた労働条件が、働いていくうちに変更されることがあります。しかし賃金カットや自分にとって適切でない勤務体系への変更など、労働条件があなたに不利に変更されることも多いのです。

「できれば労働条件を変更されたくない!」

このような時、あなたはどうしたら良いのでしょうか。

この記事では、労働条件の変更の基礎知識として、労働条件の変更が認められる場合・認められない場合や、対処法について説明します。さらに、労働条件の変更に反対したことが原因で解雇された時の対処法や、退職する際に知っておくべきことについても解説します。

会社から労働条件の変更を命じられた場合の正しい対処法を身につけましょう。

労働条件の変更に関するこの記事の流れ


1章 労働条件の変更の基礎知識

労働条件の変更とは、採用されたときに決めた賃金や勤務体系などの労働条件を変更することを言います。社員であるあなたにとってプラスの変更であれば良いのですが、問題はマイナスの変更の場合です。

マイナスの変更としては、例えば

・賃金(給与、退職金)をカットする
・賞与が減ったり、不支給になる
・勤務時間が変わる
・勤務場所が変わる
・休職規定が変更される

などがあります。

弁護士
労働条件の変更があなたにとって本当にマイナスの変更になるかは、判断が難しいところです。
社員
どういうこと?
弁護士
休憩時間が増えたら、あなたは嬉しいですか?
社員
休みが増えたら嬉しいけど…もらえる給料が減るのはいやだなあ。
弁護士
そうですね。労働条件の変更があなたにとって悪いことなのかは、さまざまな側面から考えなければならないです。

《労働条件の変更の方法》
労働条件を変更する方法としては、主に以下の2つの方法があります。

① 労働条件の変更について社員ごとに同意を得る
② 就業規則そのものを変更する

会社が労働条件を変更したい場合には、自由に2つの方法を使い分けることができます。もっとも、大企業では個別に同意を取ることが難しいため就業規則の変更をすることが多く、逆に中小企業では手続きが簡単な個別の同意を取ることが多いといえます。

①個別の同意が必要な場合は、あなたがYESと言わない限り、会社は労働条件を変更することはできません。

一方、②就業規則の変更の場合には、個別に同意を得る必要はありません。そのため、あなたの意に反して一方的に労働条件が変更されてしまうことがあります。

《注意点》
ここでひとつ覚えておいてほしいことがあります。

それは、「労働条件の変更のうち、賃金に関しては、厳しい条件をクリアしないと不利益な変更が認められない」ということです。

弁護士
つまり、あなたが賃金カットをされた場合には、会社からお金を取り戻せる可能性が高いのです。
社員
なるほど。次は、労働条件が変更される場合の手続きや対処法について詳しく知りたいな。

2章 労働条件の変更が可能な2つの場合と対処法

労働条件の変更をする方法としては、2つの方法があります。

それぞれについて、手続きと対処法を見ていきます。

2-1 会社が個別に同意を得る場合

まずは①労働条件の変更について個別に同意を取る場合について見ていきましょう。

2-1-1 会社が同意を得るまでの手続き

労働条件の変更について同意をとるにあたり、踏まなければならない手続きは法で決められていません。つまり、同意の取り方は会社に任せられているということです。

ただし、同意を取る際に、会社は労働条件の変更内容についてしっかりと説明をする必要があります 。

弁護士
労働条件の変更に同意を求められたら、どのような内容で変更するのか、しっかり会社に確認しましょう。

2-1-2 対処法|ポイントは「YES」と言わない

労働条件の変更について同意を求められた場合YESと言わないことが重要になってきます。

《同意を求められたとき》
なんとしても労働条件を変更したい会社は、以下のようにあなたに圧力をかけてくるかもしれません。

経営者(本音)
「ここで同意書を書け!」
経営者(本音)
「変更に同意しないならクビだ」

しかし、このような経緯では本当に同意をしたとは言えません。

弁護士
会社に同意を求められた場合、その場ですぐに同意してはいけません。

会社には「大事な問題なので持ち帰って考えます」と伝え、すぐ弁護士に相談しましょう。

変更に同意しないからと言って、会社はあなたを簡単に解雇することはできません。労働条件の変更に同意しないことは、解雇の理由にならないからです。
万が一解雇されてしまった場合には、不当解雇にあたりますので、4章へと進んでください。

《同意書を書いてしまったら》
いったん労働条件の変更に同意してしまうと、これを覆すには法的な知識が必要になります。そのため、すぐに証拠を持って弁護士に相談しましょう。

弁護士に依頼した場合には、まず異議を申し立て、その上で会社が労働条件を元に戻さない場合には、労働審判 をしたり、裁判をすることになります。いきなり裁判を起こす必要はないのです。

*労働審判について、詳しくは以下の記事を参照してください。
労働審判とは?手続きの流れや費用、裁判との違いなど弁護士が徹底解説

証拠としては以下のものが有用でしょう。

・上司との話し合いを録音したICレコーダー
・賃金の条件が書かれた書面
・やりとりが載っているメール

2-2 就業規則を変更する場合

次に、②就業規則そのものを変更する場合についてみてみましょう。

2-2-1 就業規則を変更するための条件・手続き

就業規則の不利益な変更は会社が一方的にできるものなので、合理的な理由がなければ労働者に不利益に変更することができないとされています(労働契約法10条)。

具体的には、以下のような場合には、合理的な理由がなく、就業規則を変更することはできません。

【就業規則が不利益に変更できない場合】
・賃金カット率が高いなど不利益が大きい(特に,10%を超えるような賃金カット )
・経営の悪化など、会社に就業規則変更の必要性が低い
・一部の社員だけ労働条件を不利益に変えるなど、不公平な取り扱いがあった
・労働条件を変更する代わりに定年を引き上げる、など、不利益の代わりになる措置がない
・多数派組合が同意していない
・組合に入っていない人にも説明をしていない
・同業他社との待遇や賃金を比べ、自分の会社の方が劣っている

また、労働条件を不利益に変更するためには、以下のような手続きを踏んでいる必要があります。

【就業規則の不利益変更に必要な手続き】
①常に10人以上の労働者がいる会社は、就業規則の変更について、職場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合の、ない場合は労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない
→代表は正しい手続きで選ばれたのか、本当に意見を聴かれたのかを確認する必要があります
②就業規則を労働基準監督署に届けること
→会社は届出書の控えを持っているはずです。確認してみましょう。
③就業規則を職場で知らせること
→就業規則が職場に貼られていたり、PCで見られる状態にないといけません。また、変更について、説明会等で説明される必要があります。

もしもあなたの会社が

・就業規則の内容が合理的でない
・就業規則を周知させていない【手続き③参照】

場合には、あなたは新しい就業規則に拘束されません。つまり、今までの労働条件で働くことができるのです。

では、受け入れられないような労働条件を提示されてしまったら、どうすればよいのでしょうか。

2-2-2 対処法|弁護士に相談する

就業規則が変更される場合には、あなたの同意なく労働条件を変えることができます。もしもあなたに不都合な内容で就業規則が変更されてしまったら、弁護士に相談してみましょう

弁護士に相談するときに必要な証拠としては、以下のようなものがあります。

・変更前の就業規則
・新しい就業規則
・事前に説明を受けていた場合には、その内容を記した書面や音声を録音したICレコーダー

弁護士
弁護士に頼んだ場合、就業規則が手元になくても、相手方に開示請求することができます。

そのため、手元に就業規則がなくてもあきらめないでください。

次の章では、具体的な労働条件の変更について、変更が認められる場合と認められない場合を説明していきます。


3章 ケース別に解説!労働条件の変更が認められる場合・認められない場合

労働条件の変更といっても、内容には様々なものがあります。ここでは代表的な例について説明します。

3-1 賃金カット

賃金カットによる労働条件の変更

弁護士
労働条件の変更の中でも、賃金カットは簡単に変更が認められません。

給料を減らされると、社員は生活ができなくなってしまうからです。

では、どのような場合に賃金カットが認められる・認められないのでしょうか。

《個別の同意を得る場合》
賃金カットが認められる場合には、自由な意思に基づいて同意をした、つまりあなたが本当に納得して同意をしたと言えなければなりません。

そのため、以下のような場合には自由な意思に基づいて同意したとは認められないため、賃金カットは認められません。

【賃金カットが認められないケース】
・賃金カットの理由について会社がきちんと説明をしなかった
・「異議がある場合は申し出るように」などと言っただけで、明確な同意を取っていなかった
・会社が同意するよう圧力をかけた

《就業規則を変更する場合》

就業規則を変更することで賃金カットをする場合も、合理性があるかを厳しく判断します。例えば、以下のような事情があると、合理性がないとして、就業規則の変更は認められにくくなります。

【就業規則の変更が認められにくい事情】
・10%以上賃金カットをするなど、不利益が大きい
・経営の悪化といった就業規則を変更する業務上の必要性が特にない
・一部の社員(高齢層や管理職など)だけ労働条件を不利益に変えるなど、不公平な取り扱いがあった
・3年をかけて賃金を減らすといった不利益を少なくするための段階的な措置 が取られていない

弁護士
賃金カットが違法な場合には今までの賃金との差額を請求することができます。

賃金カットについて、詳しくは以下の記事を参照してください。

賃金カットとは?5分でわかる!賃金カットへの2つの対処法と失業保険の話

3-2 退職金カット

退職金カットによる労働条件の変更

退職金とは、社員が退職する時に会社が支払うお金のことを言います。

ほとんどの場合、退職金の規定は就業規則にあります。そのため、 退職金カットは就業規則の変更によってなされることが多いです。では、就業規則の変更が認められない場合とは、どのような場合なのでしょうか。

【就業規則の変更が認められにくい事情 】
・その業界において、カット後の退職金が著しく低い
・単に収支が芳しくないなど、経営の悪化を理由として退職金カットをした
・だんだん減額したり、他に不利益を緩和する措置を採ることなく、いきなり退職金をカットをした

弁護士
退職金カットが違法な場合には、もらえるはずだった退職金との差額を請求することができます。

【コラム】退職金カットへの同意が求められるケース

退職金カットについて、同意を求められることがあります。その一例として、会社の吸収合併により退職金カットがされた例を見てみましょう。

【退職金カットが無効とされた例】
B組合はA組合に吸収合併され、もとの退職金より安くなってしまいました。B組合の元職員は退職金カットについて同意をしていたのですが、その内容について十分に理解しておらず、退職金カットに不満がありました。そこで、今まで通りの額での退職金の支払いを求めたのです。
→裁判所は退職金のような不利益の大きい労働条件を労働者の同意によって変更する場合について、「労働者の行為の有無だけでなく、不利益の内容や程度、労働者により当該行為がされるに至った経緯及びその態様、労働者への説明の内容などから同意が自由な意思によってなされたといえなければならない。」と示しました。
本件では、退職金カットにより退職金の総額が2分の1になり、また自己都合退職では退職金が0円となる可能性が高いという不利益がありました。しかし、この点についてきちんと説明がなされていませんでした。
そこで、裁判所は同意はなかったものと認定し、今までの額での退職金の支払いを認めたのです。
(最判平成28年2月19日 、差し戻し審・東京高判平成28年11月24日)

弁護士
退職金カットは社員にとって不利益が大きいため、真意からの同意があったかは厳しく判断されます。

社員が同意をした場合でも、退職金カットについて不利益が大きく、会社がきちんと説明をしていなかった場合には、同意はなかったと認定されます。

退職金について詳しい内容が知りたい方は、以下の記事を参照してください。

退職金とは?退職金の正しい意味や平均相場、もらい方までを徹底解説

3-3 賞与カット

賞与のカットによる労働条件の変更

実は、賞与は毎月もらえる給料と異なり、必ずもらえるとは限りません。会社が支給額を決めてはじめて賞与をもらう権利が発生するのです。

そのため、賞与カットができるかどうかも、会社の賞与規定(賞与について定めた規定)の内容によって異なります。

まずは、賞与規定であなたの会社がどのタイプなのかを確認しましょう。

①支給の有無・額が毎回決定される場合
(例)賞与の支給額は、会社の業績に応じ、能力、勤務成績、勤務態度等を人事考課により評価し、その結果を考慮して都度決定する。

②支給の有無が明確ではない場合
(例)賞与は、会社の業績等により支給する場合がある。
③支給額があらかじめ決定している場合
(例)賞与は、6月と12月に基本給の2か月分を支給する

次に、それぞれのタイプで賞与カットが許されるのかを確認しましょう。

①支給の有無・額が毎回決定される場合
このタイプの場合、会社が賞与額を決定しない限り、社員はそもそも会社に賞与を請求する権利がありません。そのため、業績が悪化したなどの理由があれば、会社は適法に賞与カットをすることができます。

②支給の有無が明確ではない場合
このタイプの場合、賞与を払うか払わないかは会社に委ねられています。そのため、会社は賞与を払わなくても問題ありません。

③支給額があらかじめ決定している場合
このタイプの場合、社員は会社に賞与を請求する権利があります。そのため、賞与カットをするには、個別の同意を得るか、就業規則を変更する必要があります。同意や就業規則の変更が認められるかは、賃金カットに準じて考えれば良いでしょう。

弁護士
賞与カットが違法な場合、もらうべき賞与を会社に請求することができます。

3-4 固定給から歩合給への変更

歩合給への変更による労働条件の変更

今まで固定給だった職場がいきなり歩合給に変更された場合や、歩合の率が変更された場合も注意が必要です。

会社は「成果主義」「会社の活性化」「競争力と高める」という都合のことを言っていることも多いのですが、実際は、人件費のカット目的で行われていることがブラック企業では横行しています 。

歩合給になった結果、成績によっては今までの給料よりもらえる額が減ってしまいます。

そもそも固定給から歩合給に変更することは,生活の不安定をもたらすので,社員にとっては非常に不利益です。

固定給から歩合給への変更も,

①成績によっては,今までの給料より高い給料をもらえることが十分に可能
②全従業員に支払う給料の総額は変わらない

などといった場合でない限り、「成果主義」という聞こえの良い賃金カットにほかならず違法と考えられます。

3-5 労働時間制 の変更

労働時間制の変更による労働条件の変更

労働時間制の変更と一口にいっても、さまざまな形態の変更が考えられます。

① 所定労働時間(就業規則などで定められたは働く時間)の変更
まず、労働時間の変更として、所定労働時間を短縮したり、延長したりすることが考えられます。

所定労働時間を延長する場合、原則として変更は認められます。働く時間が長くなれば、もらえる給料も増えるのが普通だからです。

しかし、所定労働時間が伸びたのに給料が変わらない場合(時給が下がっている場合)や、年間を通じた総労働時間が減少している場合には、社員にとって不利益が大きいため、変更が認められにくいといえます。

所定労働時間の短縮の変更が認められるかは、「給料の減り幅」がポイントになります。給料の減り幅が大きいと、社員にとって不利益が大きいため、変更が認められにくいといえます。

② 休日の減少
休日が減ったのに年間の総労働時間が減っていなかったり、賃金総額が変わらない場合には、社員の不利益が大きく、変更が認められにくくなります。

③ 労働時間にかかる制度の変更
固定残業代制やフレックスタイム制など、労働時間制度そのものを変える場合もあります。

・固定残業代制を導入した場合
→基本給が下がった場合には、賃金カットと同様、変更が認められにくくなります。
・変形労働時間制を導入する場合
→単位期間内における総労働時間が減っていない場合には、社員にとって不利益が大きいため、変更が認められにくくなります。
・フレックスタイム制を導入する場合
→社員に不利益がないため、変更が認められます。
・裁量労働制を導入する場合
→時間当たりの賃金単価が減る場合には、変更が認められにくくなります。

弁護士
ひとつ覚えておいてほしいのが「労働時間制の変更によって賃金が減る場合には、変更は認められにくくなる」ということです。

3-6 役職定年制の変更

役職定年制の変更による労働条件の変更

役職定年制とは、「社員が一定の年齢に達した時に、部長や課長などの役職を解く」制度を言います。

役職定年制を導入すると、一定の年齢で降職となり、賃金も下がってしまいます。そのため、このような制度を導入することは労働条件の不利益変更にあたるのです。

以下のような場合には、役職定年制への変更が認められにくくなっています。

・55歳未満を役職定年にする
・役職手当だけでなく、基本給まで減額する

3-7 休職規定の変更

休職規定の変更による労働条件の変更

休職とは「自分の都合で会社を長期的に休むこと」です。

この場合も、休職事由が追加されたり、休職中の給与が出ないことになる(無給休職)場合には不利益が大きいといえ、労働条件の変更が無効と言える余地があります。

3-8 福利厚生の廃止・変更

福利厚生の廃止・変更による労働条件の変更

会社の福利厚生としては、以下のようなものがあります。

・食事補助金
・別居手当
・単身赴任旅客費
・社宅の利用
・作業服の無償提供 など

福利厚生は労働条件とはいえず、単なる「会社との約束」に過ぎないこともあります。そのため、賃金カットなどと比べ、不利益に変更がしやすいのが実情です。

しかし、以下のような事情があれば、福利厚生の廃止や変更が認められにくくなります。

【福利厚生の廃止や変更が認められにくい事情】
・福利厚生の内容が、就業規則や労働契約書に記載されていること
・福利厚生を廃止することで、実質的に賃金カットとなり 社員に金銭的負担が生じること

弁護士
このように、不利益が大きい場合には労働条件の変更が認められないことがあるのです。労働条件の変更が認められない場合には、同意を拒否することもできます。
社員
でも、労働条件の変更に反対して、クビになったらどうしよう。

 


4章 労働条件の変更に反対し解雇されたときに知っておくべきこと

労働条件の変更に反対し解雇された場合には①解雇が無効になることがある②失業保険がもらえる、という2つのことを知っておくと良いでしょう。

4-1 解雇が無効になることがある

経営者(建前)
いったん解雇して、新しい労働条件で契約しようか。
社員
この条件は受け入れられません。
経営者(本音)
ふーん。じゃあクビね。

このように、会社があなたを解雇すると同時に、新しい労働条件を申し出て、拒否した場合にはそのままクビにすることがあります。

しかし、この場合も会社はあなたを簡単にクビにすることはできません。あなたを解雇するためには、以下のような4つの条件を満たす必要があるからです。

①労働条件の変更が会社の業務上、必要不可欠であること
②労働条件変更の必要性が、それによって労働者が受ける不利益を上回っていること
③新しい労働条件を飲めない場合にはクビになっても仕方がないと言えること
④解雇を避けるための努力が尽くされていること

社員
解雇をするのもハードルが高いんだね。
弁護士
そうです。そのため、解雇が無効になる可能性もあるので、一度弁護士に相談してみましょう。

会社を不当に解雇された場合には、以下の記事も参照してください。

【不当解雇は違法?】4つの相談先と解決までの流れを弁護士が解説

4-2 失業保険がもらえる可能性が高い

退職をしたら、失業保険をもらいましょう。 失業保険を貰う際に重要なのが、「会社都合」で失業保険をもらう、ということです。

弁護士
会社都合で失業保険を貰った方が受給期間が長くなります。

自己都合と会社都合の受給期間の違い

会社から一方的にクビにされた場合には、会社都合で失業保険をもらうことができます

ハローワークに以下のような証拠を持っていき、会社都合であると認定してもらいましょう。

・解雇通知書
・就業規則
・上司とのやり取りを録音した音声データ

失業保険の具体的な額や受給方法については、以下の記事を参照してください。

失業保険とは?貰える金額から手続きの方法、受給資格などを徹底解説

では、労働条件の変更を飲めないことから退職する場合には、どのようなことを抑えておけば良いのでしょうか。


5章 退職するときに知っておくべき2つのこと

「労働条件の変更は受け入れられない。だから退職しよう」

そのような場合に備え、①退職した場合のメリット・デメリット②残業代請求について知っておきましょう。

5-1 退職した場合のメリット・デメリット

労働条件の変更を理由に退職する場合のメリット・デメリットは以下の通りです。

《メリット》
・不利益な労働条件の変更に縛られない
→自分が受け入れられない労働条件から、逃れることができます。
・会社都合にすることで、失業保険をより長くもらえることがある
→賃金カットや労働条件の著しい相違の場合には、会社都合で失業保険を受給することができます。

《デメリット》
・定年までに退職することで、退職金が減ってしまう
→勤続年数によって退職金が高くなる制度を採っている場合、途中でやめると退職金が減ってしまいます。
・より良い条件の会社が見つかる保証がない
→転職に当たり、今の会社より良い条件の会社に入れるかはわかりません。

弁護士
退職をする場合、自分の望む労働条件に合った転職先があるかが重要なポイントになってくるでしょう。

【コラム】失業保険が会社都合になる場合

退職理由によっては、失業保険を会社都合で受給することができます。

《賃金カットをされた場合》
①賃金の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかった月が2か月以上続いた、または退職半年の間に3か月以上あった。
②残業手当を除いた賃金が、それまでの85%以下になった。

《労働条件が違う場合》
賃金、労働時間などの労働条件が、労働契約と実際の労働条件とで大きく違う場合

失業保険の理由を決めるのはハローワークです。労働条件の変更を理由に退職した場合には、ハローワークの担当者にその旨を説明しましょう。

5-2 退職するときに請求できるもの

退職するときに請求できる可能性があるものとしては、以下のものがあります。

・本来もらえるはずだった賃金との差額
・退職金
・残業代

まず、違法に賃金カットをされたり、労働条件が変更されたために給与が減った場合には、本来もらえるはずだった給与との差額を請求することができます。

弁護士
給与の差額を請求する場合には、自分で会社と交渉することもできますが、弁護士に依頼するのが一番です。

労働条件の変更が違法かどうかは、法的な判断を含み素人には難しいからです。

また、退職金制度を用意している会社なら、退職に際し退職金をもらうことができます。

退職金がもらえるかは、会社の就業規則によって決まっています。詳しくは以下の記事を参照してください。

退職金とは?退職金の正しい意味や平均相場、もらい方までを徹底解説

労働条件の変更を理由に会社を退職する際には、退職金がもらえないこともあります。

弁護士
そこで、退職金の代わりになるものとして、未払いの残業代について残業代請求をしましょう

残業代は、以下のような計算式で計算することができます。

残業代=基礎時給×割増率×残業時間

基礎時給=月給÷所定労働時間

ここでの「残業時間」とは、「1日の労働時間の8時間を超える部分」もしくは「週の労働時間の40時間を超える部分」のことです。

弁護士
未払いの残業代は、最後の給料日から2年間で時効にかかり、消滅してしまいます。請求をするときは早めに行動しましょう。

残業代請求について、詳しくは以下の記事を参照してください。

弁護士が解説!会社に残業代を請求する2つの方法と集めるべき「証拠」


まとめ

いかがだったでしょうか。最後に簡単にまとめてみましょう。

・労働条件の変更とは、採用されたときに決めた賃金や勤務体系などの労働条件を変更することを言う。
・労働条件の変更をする方法としては、①就業規則そのものが変更されるか、または②労働条件の変更について個別に同意を取る、の2つがある
・①就業規則の変更が認められるかは、合理性と手続きから判断する
②労働条件の変更について同意を求められても、その場ではYESと言わない
・労働条件の変更を受け入れない場合に解雇されても、無効になることがある
・労働条件の変更を理由に会社を辞めると、失業保険が会社都合になることがある
・退職するときには残業代を請求する

「労働条件が変更されそう」と思ったら、まずはこの記事をしっかり読んで対処法を検討しましょう。