- 2020.04.18
- 2024.12.05
- #追突事故慰謝料
【追突事故の慰謝料相場】1円でも多く請求する10のポイントを解説
この記事を読んで理解できること
- 追突事故で請求できる慰謝料の相場
- 追突事故で請求できる3つの慰謝料と計算方法
- 追突事故で請求可能な損害金一覧
- 追突事故の慰謝料を高額請求するための10のポイント
- 追突事故でよくある疑問
あなたは、
「追突事故にあった、、慰謝料はどのくらいもらえるんだろう?」
「慰謝料請求のためには、何をしたらいいんだろう?」
「できるだけ高額の慰謝料を請求したい」
などの悩み、疑問をお持ちではありませんか?
どれだけ普段注意していても、追突事故に遭遇することは避けられないものです。
追突事故は基本的に加害者の運転ミスによるものであるため、あなたは加害者に「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」をはじめとする慰謝料を請求可能です。
ただし、慰謝料を請求する上で注意して頂きたいのが、慰謝料の請求方法によって、慰謝料の金額は大幅に少なくなってしまうこともあるということです。
そのため、より高額の慰謝料をもらうためには、ポイントを押さえて行動することが大事です。
そこでこの記事では、まずは慰謝料の相場と請求可能な慰謝料を1章、2章で紹介し、3章では慰謝料以外の請求可能な損害金について、4章では慰謝料を高額請求するためのポイントをお伝えします。
さらに5章では追突事故による慰謝料請求についてのよくある疑問にお答えします。
ぜひ興味のあるところから読んで、行動を始めていきましょう。
1章:追突事故で請求できる慰謝料の相場
まずは、追突事故でどのくらいの慰謝料が請求できるのか疑問だと思いますので、これから慰謝料の相場を紹介します。
なお、慰謝料の金額は、「入通院日数」「認定された後遺障害等級」など様々な要素で決まるため、ここで紹介するのは一例です。
2章以降で、具体的な慰謝料の金額の決まり方を説明しますので、先に慰謝料の詳しい決まり方から知りたい場合は、2章以降をお読みください。
■慰謝料の3つの種類
そもそも、交通事故の慰謝料には「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」の3つがあります。
【3つの慰謝料】
- 入通院慰謝料・・・入院、通院した日数に応じて支払われる。
- 後遺障害慰謝料・・・後遺障害が残ってしまった場合に、後遺障害の度合いに応じて支払われる。
- 死亡慰謝料・・・被害者が死亡してしまった場合に、家族構成に応じて支払われる。
そこで、追突事故によって怪我をして、治療のために1か月入院し、6か月通院した場合の慰謝料の相場を紹介します。
追突事故の場合、追突によって「むちうち」になることが非常に多いです。そして、治療を受けても完治せず、痛みやしびれが残る場合があります。
その場合、後遺障害等級が12級、もしくは14級が認定される場合があり、慰謝料は下記のようになります。
- 12級:後遺障害慰謝料290万円+入通院慰謝料
- 14級:後遺障害慰謝料110万円+入通院慰謝料
ただし、上記の金額は弁護士に依頼した場合で、自分だけで請求した場合、金額が下がる場合があります。
なぜなら、下記のように自分で請求する場合と弁護士に依頼する場合では、対象となる慰謝料の基準が変わるからです。
※基準について詳しくは次の章で説明します。
目次
2章:追突事故で請求できる3つの慰謝料と計算方法
そもそも、交通事故の慰謝料には以下の3つのものがあります。
そして、これらの慰謝料は「自賠責基準」「任意保険基準」「裁判基準」の3つから金額が決まります。
あなたが自分で慰謝料請求した場合は「自賠責基準」もしくは「任意保険基準」、弁護士に依頼した場合は「裁判基準」が適用されるのが一般的です。
そこでこれから、3つの慰謝料のそれぞれについて、「自賠責基準」「任意保険基準」「裁判基準」から説明します。
2-1:入通院慰謝料
そもそも、入通院慰謝料とは、追突事故による怪我の治療のために入通院しなければならなくなった場合に、入通院の精神的苦痛に対して支払われるものです。
そのため、入通院にかかった治療費や交通費とは別に支払われます。
また、先ほどもお伝えした通り、入通院慰謝料は以下の3つの算出基準があります。
- 自賠責基準・・・法律で定められた最低限の補償
- 任意保険基準・・・自動車の保険会社が独自に定めている基準
- 裁判基準・・・裁判例を参考にした基準
最も高額になるのが「裁判基準」です。
入通院慰謝料の相場は、以下の通りです。
追突事故の場合、むちうちになることが多いですが、その場合は入通院も短期間で終わる場合も多いです。
※ただし、むちうちで後遺障害が残った場合、6か月以上通院しなければ後遺障害等級が認定されないことが多いため、注意が必要です。
ただし、後にも説明しますが、入通院の期間が短すぎると「後遺障害慰謝料」が請求できなくなることがあるため、注意が必要です。
これから、入通院慰謝料の規準ごとの計算方法を説明します。
■自賠責基準
自賠責基準は、
- 加害者が任意保険に入っていない
- 加害者が任意保険を使わない
- 被害者に一定の過失がある場合
などに適用される基準です。
自賠責基準の場合、
- 実通院日数(病院に通った日数)×2
- 治療期間(病院に通った期間)
のどちらか短い方の日数に「4300円」をかけて計算した金額が、示談金の相場になります。
【自賠責基準の計算方法の具体例】
①病院に通った日数・・・60日
②病院に通った期間・・・6ヶ月(通院期間180日)
上記の条件の場合、①60日×2=120日の方が②の180日より少ない日数になるため、120日に4300円をかけた金額が慰謝料の金額になります。
120日×4300円=51万6000円
自賠責基準について、詳しくは以下の記事もご覧ください。
【自賠責基準とは】交通事故の3つの計算基準と各相場を弁護士が解説
■任意保険基準
任意保険基準は、被害者であるあなたが、自分だけで示談しようとする場合に適用される基準です。
各保険会社が独自に設定している基準ですので、具体的な金額は公開されておらず、正確な相場は分かりません。
ただし、一般的に言って、裁判基準より自賠責基準に近い金額になるとお考えください。
任意保険基準について詳しくは以下の記事でも解説しています。
【交通事故の任意保険基準とは】3つの基準と高額請求のポイント
■裁判基準
裁判基準とは、弁護士に示談交渉を依頼した場合に適用される基準です。
裁判基準は、過去の裁判所の判例から、以下のように定められています。
【弁護士基準の入通院慰謝料(通常のもの)】
※単位は万円
上記の場合、入院が0日、通院が6ヶ月の場合は「116万円」になります。
先ほどの例では、自賠責基準の入通院慰謝料は6ヶ月で60日通院した場合で「50万4000円」でしたので、裁判基準の示談金相場の方が、2倍以上高額になることが分かると思います。
※「むちうち症で他覚症状(他人から見て負傷の有無が分かる症状)がない場合等」は、下記のように、裁判基準の慰謝料の金額が少し少なくなります。
【弁護士基準の入通院慰謝料(むちうち症で他覚症状(他人から見て負傷の有無が分かる症状)がない場合等)】
他覚症状がない場合とは、他人から見て負傷しているのかどうか確認できない、という状態のことです。
2-2:後遺障害慰謝料
次に、後遺障害慰謝料について説明します。
そもそも、後遺障害慰謝料とは、追突事故によって「痛み」「しびれ」「可動域の制限」「変形」「大きな傷跡などの見た目の影響」などの後遺障害が残った場合に、その精神的苦痛に対して支払われるものです。
そのため、後遺障害が残ったために、将来の収入が減った場合に支払われる「逸失利益」や、自宅を改造した場合の「家屋改造費」などとは、別に支払われます。
後遺障害等級は1級から14級まであり、どの等級が認定されるかによって、慰謝料の金額が決まります。
1級が最も重い後遺障害で慰謝料も最も高額になり、14級が最も低い後遺障害等級で、慰謝料も少なくなります。
さらに、後遺障害慰謝料にも、以下の3つの基準があります。
- 自賠責基準・・・法律で定められた最低限の補償
- 任意保険基準・・・自動車の保険会社が独自に定めている基準
- 裁判基準・・・裁判例を参考にした基準
後遺障害慰謝料の場合も、入通院慰謝料と同じく、自賠責基準が最も低く、裁判基準が最も高額です。そして、保険会社が提示してくる任意保険基準の慰謝料は、自賠責基準より高く、裁判基準より低いのが一般的です。
このように、自分で請求した場合(自賠責基準)と、弁護士に依頼した場合(裁判基準)では、示談金の金額が異なります。
※保険会社が提示する基準は「任意保険基準」ですが、これは基準が公開されていません。しかし、大体自賠責基準に近い金額になると考えてください。
たとえば、むち打ちの場合は「14級9号」であり、自賠責基準における後遺障害慰謝料の金額は、32万円になります。
それに対し、裁判基準での後遺障害慰謝料は、110万円になります。
自賠責基準では32万円でしたから、3倍以上の金額になるのです。
追突事故では「むちうち」になることが多いですので、以下の記事も参考にしてみてください。
最大460万円?むちうちの交通事故慰謝料の相場と高額請求のポイント
2-3:死亡慰謝料
ひどい追突事故で被害者が死亡してしまった場合、遺族は死亡による精神的苦痛に対して、死亡慰謝料を請求することも可能です。
死亡慰謝料にも、以下の3つの基準があります。
- 自賠責基準・・・法律で定められた最低限の補償
- 任意保険基準・・・自動車の保険会社が独自に定めている基準
- 裁判基準・・・裁判例を参考にした基準
■自賠責基準の死亡慰謝料
自賠責基準では、以下のように死亡慰謝料が決められています。
つまり、死亡した被害者が4人家族で、扶養家族である子供が2人いた場合、
400万円+750万円+200万円=1350万円
が死亡慰謝料として支払われるということになります。
■任意保険基準の死亡慰謝料
任意保険基準は公開されていないため、正確な慰謝料金額は分かりませんが、おおむね、自賠責基準に近い金額になると考えてください。
■裁判基準の死亡慰謝料
裁判基準では、以下の通りの死亡慰謝料金額が決められています。
弁護士に依頼した場合、ほぼ確実にこちらの基準の示談金額が適用されます。
死亡した被害者が一家を支えていた方(たとえば父親)だった場合は2800万円が基準になるのです。
さらに、もし死亡するまでに入通院して治療していた場合は、その日数もしくは期間に応じて入通院慰謝料や、実費の治療費等も請求することができます。
※死亡事故の場合の示談金や慰謝料、必要な対応について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
【時系列】交通事故で家族が死亡した場合にやるべきことと示談金相場
3章:追突事故で請求可能な損害金一覧
追突事故の場合、状況に応じて以下の損害金をもらうことができます。
ここまで説明してきた「慰謝料」とは、下記の損害金の中の一部に過ぎないのです。
慰謝料が「精神的苦痛」に対する損害金であるのに対して、事故によって実際に発生した経済的負担に対して、上記の様々な項目の損害金を請求できるのです。
追突事故でむちうちになったと仮定して、損害金を計算すると以下のようになります。
- 入通院慰謝料…入院1か月、通院6か月の場合、149万円。
- 後遺障害慰謝料…後遺障害等級12級の場合、290万円。
- 治療費・・・治療にかかったお金で、保険会社から病院に直接支払われることがほとんど。
実際にかかった金額(実費) - 交通費・・・治療のための通院にかかった交通費。
実際にかかった金額(実費) - 入院雑費・・・入院の際にかかった生活必需品などの雑費。
入院1日あたり1500円 - 付添看護費・・・被害者の症状が重い、被害者が乳幼児などの場合で、看護が必要な場合に支払われる。
プロに依頼した場合、実際にかかった金額(実費) - 介護費・・・怪我により介護が必要になった場合に支払われる。
一時的な介護をプロに依頼した場合、実際にかかった金額(実費) - 装具・器具費・・・事故により歩行が困難になるなど、装具・器具が必要になった場合に支払われる。
基本的に、実際にかかった金額(実費) - 家屋改造費、自動車改造費・・・車椅子生活になるなどで、家や自動車の改造が必要になった場合に支払われる。
後遺障害で改造が必要な場合、基本的に、実際にかかった金額(実費) - 休業損害・・・事故によって仕事を休まざるを得ず、損害が発生した分について支払われる。
会社員で、事故前3カ月の給与(額面)が合計90万円、出勤日数66日、休業日数が22日だった場合、30万円 - 逸失利益・・・後遺障害が残り、将来得られるはずの収入が減少してしまう場合に支払われる。
事故前1年間の給与が500万円、後遺障害等級が12級、症状固定時30歳の場合、約1169万7700円
さらに、もちろん追突事故によって自動車や二輪車の修理費が必要な場合、修理費を請求することも可能です。
このように、特に「逸失利益」という項目で高額の損害金が支払われる場合がありますので、しっかり計算して請求することが大事です。
※損害金の各項目の計算方法について、詳しくは以下の記事で解説しています。
【弁護士がわかりやすく解説】交通事故示談金の相場と各項目の計算方法
4章:追突事故の慰謝料を高額請求するための10のポイント
追突事故で最大限の慰謝料を請求するためには、以下のポイントを守って行動することが大事です。
■交通事故発生時のポイント
- その場で警察を呼ぶ
- 実況見分に立ち会う
- 交通事故証明書を確認し「人身事故」になっているか確認する
■治療中のポイント
- まずは病院で治療を受け、診断や治療の記録を残しておくこと
- 整骨院、接骨院で治療を受ける場合、外科、整形外科にも通院すること
- 健康保険や労災保険を利用すること
■後遺症が残った場合の手続きのポイント
- 「症状固定」のタイミングは医師に判断してもらう
- 「後遺障害等級認定時」は弁護士にサポートしてもらう
- 等級に不満がある場合は異議申立する
■示談交渉時のポイント
- 弁護士に依頼する
それでは順番に解説します。
4-1:交通事故発生時
交通事故が発生したら、焦って通常の精神状態ではいられなくなると思います。
しかし、だからこそ、思い込みや加害者の言うとおりに動いてはなりません。
交通事故が発生したら、できるだけ以下の対応を行うようにしましょう。
- その場で警察を呼ぶ
- 救急車を呼んで病院に搬送してもらう
- 実況見分に立ち会う
- 交通事故証明書を確認し「人身事故」になっているか確認する
順番に見ていきましょう。
4-1-1:その場で警察を呼ぶ
事故を起こした場合、必ずその場で警察に連絡します。
警察はすぐに来てくれることが多いですから,それまではその場を勝手に立ち去ってはなりません。また、痛いところがあれば、必ず警察に伝えましょう。
なぜなら、
- その場で警察に連絡しないと、交通事故にあったことを証明できない
- 加害者の連絡先が分からなければ、示談金を請求することができない
という理由があるからです。
4-1-2:救急車を呼んで病院に搬送してもらう
けがをしている以上,無理に現場にとどまる必要はありません。
救急車を呼んで(もしくは周囲の人に呼んでもらって)、すぐに病院に搬送してもらいましょう。
無理をして自分で病院に行こうとする人もいるようですが、そうすると「自分で病院に行けるくらい軽傷だったのだろう」と考えられ、損害金が少なくなる可能性もあるからです。
下に記載している実況見分は後日でもできます。
4-1-3:実況見分に立ち会う
後日(稀に、当日)、警察と一緒に「実況見分」という、事故現場の状況を一緒に確認する手続きが行われます。
この時大事なのが、被害者のあなたもできるだけ一緒に立ち会うということです。
なぜなら、加害者の立ち会いしかないと加害者に有利な実況見分が行われる可能性があるからです。
そのため、大きな怪我をしていない場合は、警察を呼んでそのまま現場に留まり、実況見分が行われるのを待ちましょう。
4-1-4:交通事故証明書を確認し「人身事故」になっているか確認する
あなたがあった事故の詳細は、後日、警察によって「交通事故証明書」という書類に記載されます。
「交通事故証明書」をもらったら、あなたの事故が「物損事故」か「人身事故」のどちらで処理されているか確認しましょう。
もしあなたが怪我をしているのに「物損事故」で処理されていたら、警察に連絡して「人身事故」に切り替えてもらえるように手続きをしましょう。
なぜなら「物損事故」として処理されてしまうと、保険会社から治療費が出ない可能性があるからです。
切り替え手続きには、病院の診断書が必要ですので、診断書を発行してもらい、それを持って警察に手続きに行く必要があります。
次に、治療中のポイントを解説します。
4-2:治療中
交通事故で怪我をした場合、入院・通院によって治療をすることになります。
治療中に知っておいた方が良いことは、以下の通りです。
- まずは病院で治療を受け、診断や治療の記録を残しておくこと
- 整骨院、接骨院に通う場合、外科、整形外科にも通院すること
- 場合によっては、労災保険や健康保険を利用すること
順番に解説します。
4-2-1:まずは病院で治療を受け、診断や治療の記録を残しておくこと
交通事故にあったら、たとえ怪我が軽くてもまずは必ず病院に行って、しかるべき治療を受けましょう。
なぜなら、病院に行って治療を受けていなければ「治療費」をもらえないからです。
また、治療中は、あなたが感じている症状についてしっかり医師に伝え、必要な治療を行ってもらうことが大事です。
なぜなら、示談金の金額は、事故後の診断結果や治療経過も判断材料になるため、違和感があれば何でも伝えた方が良いからです。
4-2-2:整骨院、接骨院に通う場合、外科、整形外科にも通院すること
追突事故の怪我は、原則的には、整形外科に通院することが望ましいです。
しかし、整形外科に行く時間がなかなか取れない人は、症状によっては、整骨院や接骨院に通院して治してもらうこともあると思います。
その場合注意して頂きたいのが、整骨院等に通う間も、定期的に外科や整形外科に診断してもらっておくことです。
なぜなら、整骨院等は、保険会社から「治療として認められないので、整骨院等にかかった費用は支払いません」と言われることがあるからです。
外科や整形外科に通院して、医師から整骨院等に通うことの許可を受けていれば、整骨院等にかかった費用も保険会社に負担してもらえる可能性が高まります。
4-2-3:場合によっては、労災保険や健康保険を利用すること
- 保険会社が治療費を立て替えてくれないとき
- 交通事故の過失が自分に少しでもあるとき
こんな場合には労災保険を、労災保険が使えない場合は健康保険を利用して通院したほうがよいでしょう。
労災保険や健康保険を使わず、自由診療のままにしてしまうと、同じ治療内容でも、治療費が高くなってしまいますので、損をしてしまいます。
治療に必要な入通院であれば、後に保険会社に請求できる場合がありますので、まずは労災保険や健康保険で治療しておくことが大事なのです。
治療が終わり、痛みやしびれも残らず完治した場合、等級認定手続きが終わってから示談交渉がはじめられます。
示談交渉の流れについては、4−4をお読みください。
怪我が完治せず、痛みやしびれが残った場合は、後遺症に関する診断や認定手続きが必要ですので、4−3をお読みください。
4-3:後遺症が残った場合
治療が終わった状態では、怪我が完治していることが望ましいですが、場合によっては痛みやしびれ(後遺症)が残り、それ以上の改善が望めない場合もあります。
後遺症が残った場合は、治療後に以下のポイントを抑えて手続きを進めることが大事です。
- 「症状固定」のタイミングは医師に判断してもらう
- 「後遺障害等級認定時」は弁護士にサポートしてもらう
- 等級に不満がある場合は異議申立する
順番に解説します。
4-3-1:「症状固定」のタイミングは医師に判断してもらう
「これ以上治療をしても、症状が改善されない」という状態のことを「症状固定」と言います。
症状固定になると、それ以降の症状は後遺症であり、改善できないものです。
そのため、「症状固定」以降に発生した治療費や休業損害については、請求することができなくなってしまいます。症状固定以降に治療をしても、その分は自己負担になります。
したがって、症状固定の時点で残っている後遺症については、保険会社が、後遺症の影響による収入の減少などへの補償(逸失利益)や、後遺症が残ったことに対する慰謝料(後遺障害慰謝料)を賠償することになります。
注意して頂きたいのは「症状固定」のタイミングを、保険会社が勝手に決めようとしてくることがあることです。
保険会社は、できるだけ支払う治療費や休業損害を抑えたいと考えます。
そのため、場合によっては勝手に「もう治療の必要はない」と判断し、それ以降の治療費の支払いを打ち切ろうとすることがあるのです。
まだ治療が残っている場合、勝手に打ち切られては困ってしまいますよね。
症状固定は、保険会社が勝手に判断していいものではありません。
プロであるあなたの医師の意見が重要になりますので、医師がまだ治療が必要と判断している場合、治療の支払を求めて保険会社と交渉したほうがよいでしょう。
この段階で、保険会社から勝手に「治療費の支払いを打ち切る」などと言われた場合は、弁護士に相談してその後の対応を任せることをおすすめします。
4-3-2:「後遺障害等級認定時」は弁護士にサポートしてもらう
後遺障害が残った場合、その後遺障害の度合いを「後遺障害等級」というレベルで認定してもらう必要があります。
等級には1級から14級までがあり、1級が一番重篤な障害、14級が一番軽い障害です。
後遺障害等級の認定があれば、示談交渉の際に将来の収入に関する「逸失利益」や、後遺障害が残った「後遺障害慰謝料」を請求することができます。
そのため、後遺障害が残ったら必ず後遺障害等級を申請することが必要です。
後遺障害等級の認定は「後遺障害診断書」の内容が基準になるため、
- 後遺症の詳細が十分に記載されていること
- 十分な検査結果が診断書に記載されていること
という2点が大事なポイントです。
したがって、医師にはもれがないように診断書を作成してもらうことが大事です。
後遺障害認定に必要な検査内容や提出資料は、医師ですら正確に把握していないことがあります。
交通事故のトラブルに強い弁護士に依頼すれば、必要な検査や提出資料について、弁護士が医師に指示し、後悔のないような後遺障害等級を認定してもらうことにつながりやすいのです。
後遺障害が残った場合にやるべきこと、知っておくべきことについて、詳しくは以下の記事で解説しています。
ぜひご覧ください。
【後遺障害診断書とは】有利に等級認定してもらうための流れとポイント
4-3-3:等級に不満がある場合は異議申立する
もし、認定された後遺障害の等級に不満がある場合「異議申立」という手続きを行うことで、再度認定し直してもらうことも可能です。
ただし、ただ単に「異議申立」すれば、等級を再度見直してくれるわけではありません。
認定のどこに誤りがあるのか、医学的な根拠に基づいて指摘しなければ、結局同じ等級にされてしまいます。
そのため、後遺障害等級の異議申立について、医学的根拠に基づいて判断できる弁護士に依頼するのが、大事なポイントです。
※ただし「異議申立」で等級が見直してもらえることは稀です。
4-4:示談交渉時
示談交渉で、最大限の示談金をもらうためには、弁護士に依頼することが重要です。
なぜなら、1章で解説したように、保険会社は「できるだけ示談金を安く抑えたい」と考えるからです。
特に、後遺障害慰謝料の場合は慰謝料の算出基準に3つのものがあるのですが、保険会社は独自の基準である「任意保険基準」で慰謝料を計算します。
そのため、慰謝料の額が本来もらえる最大の額より、ずっと少なくなってしまうことがあるのです。
弁護士に依頼すると「裁判基準」の示談金で交渉することができるため、保険会社が提示した示談金より、さらに高額が請求できる場合があります。
そこで、1円でも多く示談金を増額させるためには、交通事故の示談交渉に強い弁護士に相談することをおすすめします。
交通事故の示談交渉に強い弁護士の選び方については、こちらの記事を参考にしてみてください。
【保存版】交通事故に強い弁護士の選び方と0円で依頼する方法を解説
さらに、弁護士費用の相場や、弁護士費用特約について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
【事例別】交通事故の弁護士費用を最大限安くおさえる方法を徹底解説
示談交渉はやり直しできないので、できるだけ早めに相談するのがよいでしょう。
5章:追突事故でよくある疑問
追突事故の場合は、下記のような疑問をよく耳にします。
- 事故証明書が「物損事故」になる?
- 物損事故の場合はどうすれば良い?
- むちうちでは等級認定されない?
- 過失割合が0の場合はどうなる?
これらの疑問にお答えします。
5-1:事故証明書が「物損事故」になる?
追突事故では軽微な事故で済むケースも多くみられます。
軽微な追突事故の場合は、交通事故の事故証明書が「物損事故」で処理されている場合があります。
あなたや同乗者が怪我をしている場合、本来「人身事故」で処理されなければならないのですが、これが「物損事故」で処理されていると、慰謝料請求時に不利になることがあります。
そのため、「物損事故」で処理されてしまっている場合は、4章で紹介した手続きによって「人身事故」に切り替えるか、弁護士に相談することをおすすめします。
5-2:物損事故の場合どうすれば良い?
あなたや同乗者が怪我をしておらず、自動車や二輪車の修理費だけしか損害が発生していない場合は、「物損事故」です。
その場合は、この記事で紹介したような「治療」「後遺障害等級認定」といった手続きが必要ないため、手続きの内容はシンプルになります。
追突事故の場合は、被害者の過失が0である場合も多く、その場合は修理にかかった費用の全額を加害者側に負担させることができます。
ただし、物損事故で損害金の金額が少ない場合(たとえば10万円、20万円など)は、弁護士に依頼すると損する可能性もあります。
あなたの場合は依頼するべきかどうか、弁護士に無料相談してみてください。
5-3:むちうちでは等級認定されない?
追突事故では「むちうち」になることが多いですが、むちうちの場合、客観的に症状が確認できず「等級認定はできない」と言われることも多いです。
しかし、むちうちによる「痛み」「しびれ」などの後遺障害が残っている場合、適切な検査を受けることで、後遺障害等級が認定される場合もあります。
その場合、後遺障害等級12級、もしくは14級が認定され、裁判基準で「110万円~290万円」の後遺障害慰謝料がもらえる場合があります。
ただし、客観的に分からないむちうちの後遺障害の場合、ポイントを押さえて等級認定の手続きを行う必要がありますので、詳しくは弁護士に相談してください。
5-4:過失割合が0の場合はどうなる?
追突事故の場合、過失割合が10対0になる(あなたに過失が一切ない)という場合が多いです。
なぜなら、追突事故はその性質上、加害者の一方的なミスであることが多いためです。
あなたの過失割合が0である場合、一点問題があります。
それは、あなた側の保険会社が示談交渉を代理で行ってくれないということです。
なぜなら、過失割合が0であれば被害者の保険会社は示談金を支払う必要がないため、交渉する理由がないからです。
そのため、過失割合が0の場合は、あなたが直接加害者や加害者側の保険会社と話し合い、示談交渉をしなければならなくなります。
その場合、加害者側の保険会社は、あなたに様々な理由をつけて慰謝料を減額しようとしてくるでしょう。
そうなれば、あなたは本来もらえるはずの慰謝料より、大幅に少ない慰謝料しかもらえなくなる可能性があります。
そのため、過失割合が0の場合は、弁護士に依頼して代理で示談交渉に応じてもらうことをおすすめします。
まとめ
いかがでしたか?
最後にこの記事の内容をまとめます。
【追突事故で請求可能な慰謝料と損害金】
【追突事故で最大限の慰謝料を請求するためのポイント】
■交通事故発生時のポイント
- その場で警察を呼ぶ
- 実況見分に必ず立ち会う
- 交通事故証明書を確認し「人身事故」になっているか確認する
■治療中のポイント
- まずは病院で治療を受け、診断や治療の記録を残しておくこと
- 整骨院、接骨院で治療を受ける場合、外科、整形外科にも通院すること
- 健康保険や労災保険を利用すること
■後遺症が残った場合の手続きのポイント
- 「症状固定」のタイミングは医師に判断してもらう
- 「後遺障害等級認定時」は弁護士にサポートしてもらう
- 等級に不満がある場合は異議申立する
■示談交渉時のポイント
- 弁護士に依頼する
この記事で紹介したポイントを押さえて、すぐに行動を開始してください。