労働基準法上の「残業時間の定義」と残業のトラブルへの2つの対応策
この記事を読んで理解できること
- 労働基準法における「残業時間」の正しい定義
- 「割増賃金」が払われる残業時間について理解しよう
- 残業と切っても切り離せない「36協定」とは?
- 長時間の残業を改善するための方法
- 「未払いの残業代」がある!残業代を請求する2つの方法と注意点
- あなたは当てはまる?変則的なケースの残業時間とは
あなたは、
「労働基準法での残業時間の定義って何?」
「自分の会社の残業時間はかなり長いけれど、違法じゃないの?」
という悩みをお持ちではありませんか?
労働基準法では、残業時間とは「1日8時間・週40時間のどちらかを超える労働時間」であると、明確に決められています。
しかし、残業時間を わざといい加減に管理して、実際の残業時間よりも、少ない金額の残業代しか払わないブラック企業が多く存在するようです。
もしかすると、あなたの残業代も不当に少なく支払われている可能性があるのです。
そこでこの記事では、労働基準法における残業時間の定義について詳しく解説します。
どんなケースが違法なのか分かれば、長時間労働を会社に改善させたり、未払い残業代を請求したりすることができます。
最後までしっかり読んで、会社から違法にこき使われないための知識を身につけてください。
【全部読むのが面倒な方へ|当記事の要点】
■労働基準法上の残業とは
1日8時間、週40時間のどちらかを超えた労働時間
■残業した場合割増賃金が支払われる
- 通常の残業時間:1.25倍
- 法定休日:1.35倍
- 深夜残業:1.5倍
- 法定休日の深夜残業:1.6倍
■ごまかされがちだが、労働時間としてカウントされる時間
- 準備時間:制服、作業服、防護服などに着替える時間、始業前の朝礼・体操の時間など
- 後始末時間:着替え、掃除、清身
- 休憩時間:休憩中の電話番や来客対応などを依頼された場合
- 仕込み時間:開店前の準備やランチとディナーの間の仕込み時間
- 待機時間:トラックの荷待ちの時間
- 仮眠時間:警報や緊急事態に備えた仮眠の時間(特に警備や医療従事者など)
- 研修:会社からの指示で参加した研修
- 自宅の作業:仕事が終わらず自宅に持ち帰って仕事した時間
■残業時間や残業代のトラブルを解決する方法
- 労働基準監督署に申告する
- 労働局のあっせんを利用する
- 弁護士に依頼する
目次
1章:労働基準法における「残業時間」の正しい定義
そもそも、労働基準法における「残業時間」とは、どういった時間のことを指すのでしょうか?
まず押さえておかなければならないのは、「1日8時間・週40時間」のどちらか一方を超えた時間が、残業時間」だということです。
この時間について、原則的に、会社は社員に割増賃金を払わなければならないことが、労働基準法に明記されています。
しかし、実際の残業時間を判断する上では、この定義だけでは不十分です。
過去の判例を基に、「残業時間」についてより正確に定義すると、以下のようになります。
「残業時間=使用者の指揮命令下に置かれている状態で、法定労働時間を超えて働いた時間のこと」
(注)法定労働時間とは、法律で決められた労働時間の上限のことで、「1日8時間以内、週40時間以内」の労働のことです。
労働基準法における「残業時間」とは
- 1日8時間・週40時間のどちらか一方を超えて働いた
- 使用者の指揮命令下に置かれていた
それでは、正しい残業時間の定義について、詳しくみていきましょう。
1-1:残業時間とは1日8時間・週40時間を超えて労働した時間
労働基準法で定められた「残業時間」とは、詳しくは以下のような時間のことです。
1日8時間を超えた労働時間
たとえば、9時出勤、18時退勤(休憩時間1時間)の会社なら、18時までが法定労働時間で、それを超えた時間が残業時間になります。
週40時間を超えた労働時間
たとえば、9時出勤、18時退勤(休憩1時間)の労働を月曜日から金曜日までの5日間続けた場合、土曜日に1分でも出勤すれば1分目の労働から残業時間になります。
この1日8時間、週40時間のどちらか一方を超えた時間のことを残業時間と言います。
この時間に働いた場合は、原則的に、基礎時給に「割増率」をかけた残業代(割増賃金)が払われることになっています。
「基礎時給」とは、時給制の人の場合は普段の時給のこと、月給制の人の場合は、月給を「所定労働時間(約170時間)」で割った金額のことです。
(注)170時間とは「契約で決められた平均労働時間」のことです。「契約で決められた平均労働時間」というのは、人にもよりますが160〜174時間であることが多いようです。今回は計算しやすいように170時間としています。
「割増率」とは,1日8時間・週40時間を超える残業代について、基礎時給にかける割合のことです。
通常の残業時間については、「1.25倍」が割増率になります。
つまり、基礎時給が1000円の人が残業した場合、残業代の時給は1250円になるのです。
ただし、「1日8時間・週40時間」の定義に当てはまらない変則的なケースの労働形態も存在します。
変則的なケースについては、この記事の第6章で紹介します。
1-2:残業時間にカウントされるのは「使用者の指揮命令下に置かれている」時間
「使用者」とは、簡単に言えばあなたの職場の「上司」や「社長」「役員」のことです。
その使用者から「この仕事をやってくれ」「この時間は働いてくれ」という指示を受けている時間は、すべて労働時間としてカウントされます。
具体的には以下の通りです。
【労働時間にカウントされる8つの時間】
以下の8つの時間は、本来は労働時間であるのにもかかわらず、会社から「労働時間に入らないよ」とごまかされることが多い時間です。
- 準備時間:制服、作業服、防護服などに着替える時間、始業前の朝礼・体操の時間など
- 後始末時間:着替え、掃除、清身
- 休憩時間:休憩中の電話番や来客対応などを依頼された場合
- 仕込み時間:開店前の準備やランチとディナーの間の仕込み時間
- 待機時間:トラックの荷待ちの時間
- 仮眠時間:警報や緊急事態に備えた仮眠の時間(特に警備や医療従事者など)
- 研修:会社からの指示で参加した研修
- 自宅の作業:仕事が終わらず自宅に持ち帰って仕事した時間
これを読んで、「あれ?この時間はうちの職場では労働時間扱いされてないぞ?」と思ったものがあったかもしれません。
そんな場合は、会社から残業時間をごまかされ、結果、あなたは本来貰える金額の残業代を貰えていない可能性が高いです。
これらの「ごまかされやすい時間」について、詳しくは以下の記事を参照してください。
弁護士が解説する「残業の定義」とごまかされやすい8つの労働時間
【コラム】派遣社員・アルバイト・パートの残業時間は?
派遣社員やアルバイト・パートだからと言って、残業時間の規定が適用されなかったり、残業代が払われなかったりすると思っている人もいるようです。しかし、派遣社員・アルバイト・パートでも、正社員と同じように労働基準法が適用されます。そのため、残業時間の上限や残業代の規定は、ここまで説明した通りのものが適用されます。
2章:「割増賃金」が払われる残業時間について理解しよう
1章で残業時間には「割増賃金」が払われること、通常の残業時間の割増賃金とは、「基礎時給×1.25倍」の金額になることをお伝えしました。
しかし、あなたも既に知っているかもしれませんが、働いた時間によっては、割増賃金はもっと高くなることがあります。
具体的には、
- 法定休日の労働:1.35倍
- 深夜残業:1.5倍
- 法定休日の深夜残業:1.6倍
のように、法律で決められています。
割増率が1.25ではなく1.5だった場合、基礎時給が1000円の人なら、1時間で見ればたった250円の違いです。
しかし、例えば、これが毎月50時間、2年間で1200時間になれば、金額にして30万円も変わってくるのです。
これから詳しく解説します。
2-1:「法定休日」の割増賃金とは
まずは、「法定休日の割増賃金」について、解説します。
労働基準法では、会社は社員に対して、最低でも週1日以上の休日を与えなければならない、と決められています。これを「法定休日」と言います。
法定休日に社員を働かせた場合には、社員が働いた時間に対して、基礎時給に「1.35倍」の割増率がかけられた、金額が割増賃金となります。
法定休日の賃金=(基礎時給×1.35倍)×労働時間
しかし、中には「週休2日」の「所定休日(=会社が定める休日)」がある会社で働いている人もいると思います。
そのような会社では、休日のどちらか一方の日に出勤させられても、割増賃金は発生しないのでしょうか?
実はそうではありません。
あなたの会社で、毎日8時間勤務になっていたとすると、週5日で労働時間が40時間になります。
そのため、6日目に働いた時間はすべて「残業時間」になるため、働いた時間に対して、1.25倍割増率がかけられた残業代が払われなければなりません。
ただし、1日7時間労働の会社なら、5日で合計35時間にしかならないため、6日目の5時間の労働までは、割増賃金は発生しません。
さらに、深夜に残業した場合は、もっと高い割増賃金が発生します。
2-2:「深夜残業」の割増賃金とは
次に、深夜残業の割増賃金について解説します。
下記の時間の労働は、「深夜労働」となり、基礎時給に深夜労働分の+0.25倍の割増賃金が払われます。
夜の22時から翌朝5時までの時間
それ以前の時間に8時間を超えて働いていて、さらに22時を超えて働いた場合は、22時以降の残業が「深夜残業」になります。
そして、深夜残業に対しては、通常の残業の割増率1.25倍に、深夜分0.25倍がプラスされて「1.5倍」の割増率がかけられた割増賃金が払われ、さらに法定休日の22時以降(深夜)に残業した場合は、「1.6倍」の割増率がかけられた、割増賃金が支払われます。
たとえば、9時始業(休憩1時間)の会社なら、18時〜22時の4時間が残業時間、24時まで働いたなら、22時〜24時が深夜残業時間になります。そのため、残業代は、
残業代=(基礎時給×割増率1.25倍×4時間)+(基礎時給×割増率1.5倍×2時間)
という式で計算することができます。
ここまで、残業時間と残業代・割増率の関係について解説してきましたが、理解できたでしょうか?
まとめると以下のようになります。
- 通常の残業時間:1.25倍
- 法定休日:1.35倍
- 深夜残業:1.5倍
- 法定休日の深夜残業:1.6倍
実は、ここまで「会社が社員に残業させることができる」ことを前提に解説を進めてきましたが、すべての会社で残業が可能であるわけではありません。
実は、「36協定」という協定が締結されていなければ、会社は社員を、労働基準法で定められた時間を超えて働かせることができないのです。
そこで、これから36協定について、簡単に解説します。
3章:残業と切っても切り離せない「36協定」とは?
- 1日8時間、週40時間を超えた労働
- 週1日の法定休日の労働をさせることができるようになるのです。
ただし、36協定が締結されていても、
- 週15時間
- 月45時間
を超えて残業させることは、原則としてできません。
他にも、36協定にはいくつかのルールがあり、それを守って締結されていなければ無効になるため、会社は社員に残業させることができません。
多くの会社では、36協定を締結せずに社員に残業させていたり、無効な協定の下で残業させていたりすることがありますので、違法な残業ではないか、確認することが必要です。
「36協定」について、詳しくは以下の記事を参照してください。
36協定とは?基礎知識や残業が違法となるケース、未払残業代の請求方法
4章:長時間の残業を改善するための方法
残業時間・残業代について、労働基準法ではどのように定められているのか、理解できたと思います。ここまで読んで、
あなたの会社で、労働基準法に違反する長時間労働が行われている場合、
- 労働基準監督署への相談
- 労働局の「あっせん」の利用
というどちらかの手段で、解決できる可能性があります。
4-1:労働基準監督署への相談
労働基準監督署は、労働基準法に違反した会社を取り締まることができます。
そのため、「長時間労働を是正してほしい」という問題も、労働基準監督署に相談することで、解決できる可能性があります。
労働基準監督署に訴えた後の流れ
①労働基準監督署が会社を調査
労働基準監督署があなたの申告から、まずは実態がどうなっているのか調査します。調査では、原則的に予告なしで調査員が会社を訪れ、労働関係の帳簿の確認、責任者や労働者へのヒアリングなどが行われます。
②違法性があったら会社へ是正勧告
調査で違法性が確認できた場合に、それを改善させるために「これをやめなさい」「こう改善しなさい」という是正勧告をします。
③従わなければ経営者を逮捕
再三の勧告で改善されなかった場合は、最終的には逮捕に踏み切ることもあります。ただし、労働基準監督署が逮捕に踏み切るのは例外的な悪質なケースのみです。
4-2:労働局の「あっせん」を利用する
労働局には「紛争調整委員会」という下部組織があり、そこでは「あっせん(=裁判を利用せずにトラブルの解決を図る方法)」という、会社と労働者との間で起こったトラブル(紛争)を解決する場を設ける制度があります。
これを利用して、会社に対して「長時間労働の是正」を要求することができます。
つまり、労働基準監督署への申告や、労働局のあっせんの利用には、
- 確実に解決する可能性が低い
- あっせんの場合は、明確に会社と対立することになり、その後の職場での関係に不安が残る
などのデメリットがあるのです。
そのため、本当に会社の長時間労働に悩んでいるならば、弁護士に依頼して残業代を取り返し、その職場から抜け出してしまうのも一つの手段でしょう。
それでは、これから「残業代を取り返したい」場合の方法について解説します。
5章:「未払いの残業代」がある!残業代を請求する2つの方法と注意点
この記事を読んで、
と思ったあなたは、これから紹介する「残業代を取り返すための方法」をしっかり読んで、実践してください。
残業代を取り返す方法には、
- 自分で請求する
- 弁護士に依頼して請求する
という2つの方法があります。また、残業代請求には「3年の時効」がありますので、できるだけ早く行動をはじめることをオススメします。
5-1:自分で請求する方法
自分で会社に残業代を請求するためには、会社に「配達証明付き内容証明郵便」で、請求書を送る必要があります。
内容証明で請求書などを送ることで、会社は「届いてない」と言い張っても、郵便局が届いたことを証明してくれます。これが内容証明です。
ただし、自分で会社に内容証明を送って残業代を請求しても、会社側にはプロの弁護士が付いて、うまく丸め込まれてしまう可能性があります。
つまり、あなたが残業代を請求しても、1円も取り戻せないかもしれないのです。
5-2:弁護士に依頼する:訴訟(裁判)の必要はないことがほとんど
そこでおすすめなのが、弁護士に依頼する方法です。
あなたが思っているよりも、弁護士に依頼する方法は、手間もお金もかからないのです。
弁護士に依頼すると、残業代の請求はほとんど「交渉(=弁護士が会社と電話や書面で交渉する)」だけで解決します。
そのため、訴訟(裁判)のように手間や時間がかからないことがほとんどなのです。
会社から残業代を取り返すための方法の詳細については、以下の記事を参考にしてください。
残業代が出ないのは違法!会社から残業代を取り戻す2つの方法とは?
5-3:残業代請求には「3年」の時効がある
実は、残業代の請求には時効があり、3年を過ぎると取り返すことができなくなります。
つまり、毎月、3年前の1ヶ月分の残業代が消えていくのです。
そのため、未払いの残業代を取り返したい場合は、すぐに行動を始める必要があるのです。
残業代請求の時効について、詳しくは以下の記事を参照してください。
残業代請求の時効は3年!時効を止める方法や注意点、例外などを解説
また、残業代請求をするためには、まずやって欲しいことがあります。それが「証拠集め」です。
5-4:残業代請求に必要な証拠
残業代の証拠として有効なものを「勤怠管理している会社の場合」「勤怠管理していない会社の場合」の2つに分けて紹介します。
【勤怠管理している会社で有効な証拠】
- タイムカード
- 会社のパソコンの利用履歴
- 業務日報
- 運転日報
- メール・FAXの送信記録
- シフト表
これらの証拠になるものについて、会社から証拠隠滅されないように、パソコンからデータをダウンロードしたり、シフト表や日報は写真に撮ったりして、保存しておきましょう。
また、これらの証拠になるものがなくても、諦める必要はありません。
タイムカードを置いていなかったり、日報をつけないような勤怠管理してない会社でも、以下のようなものが証拠になり得ます。
【勤怠管理していない会社で有効な証拠】
- 手書きの勤務時間・業務内容の記録
- 残業時間の計測アプリ
- 家族に帰宅を知らせるメール
証拠としては、本人の筆跡が確認できる「手書き」のものが、もっとも証拠として認められる可能性が高いです。
できれば3年分の証拠があることが望ましいですが、なければ半月分でもかまわないので、できるだけ毎日の記録を集めておきましょう。
詳しい証拠の集め方については【弁護士が解説】残業代をアップさせる証拠一覧と集め方マニュアルの記事を参照してみてください。
6章:あなたは当てはまる?変則的なケースの残業時間とは
最後に、「1日8時間・週40時間」の定義に当てはまらない、7つの変則的なケースの残業時間について、簡単に解説します。
- みなし労働時間制(固定残業代制)
- 管理職
- 裁量労働制
- 変形労働時間制
- フレックスタイム制
- 事業場外みなし労働時間制
- 年俸制
以上のケースに当てはまる場合は、参考にしてください。以上のケースで、会社から「残業代は出ないよ」と言われている場合でも、実際には残業代が出る可能性があります。
みなし労働時間制
みなし労働時間(固定残業代)制とは、毎月一定の時間の残業時間(みなし労働時間)があることを前提にして、一定額の残業代を「固定手当」や「基本給に組み込む」などの形で払う仕組みのことです。
みなし労働時間制について、詳しくは以下の記事を参照してください。
管理職
労働基準法では、管理職、つまり「管理監督者」とみなされる人に対しては、残業代が払われなくて良いとされています。
そのため、あなたが「管理監督者」である場合、1日8時間・週40時間を超えて働いても、残業時間としてカウントされることはありません。ただし、実際にはほとんどの人は、「管理監督者」の条件を満たしていません。
「管理監督者」について、詳しくは以下の記事を参照してください。
管理職とは?残業代ゼロはウソ!法律上の3つの要素と悪用される手口
裁量労働制
裁量労働制は、「仕事の時間配分などの自由度が高く、労働時間を会社が管理することができないため、何時間働いても一定時間労働したものとみなす」という制度です。
コピーライターやシステムエンジニア、弁護士などといった専門的な職業の場合に適用できることがあります。
詳しくは、以下の記事を参照してください。
変形労働時間制
変形労働時間制とは、「1週間」「1ヶ月」などの単位の中では、トータルの労働時間が規定の範囲を超えなければ、「1日8時間」「週40時間」を超えて働かせても、割増賃金が発生しない、という制度です。
変形労働時間制について、詳しくは以下の記事を参照してください。
フレックスタイム制
変形労働時間制の一種に「フレックスタイム制」があります。
フレックスタイム制は、始業時間と就業時間を、労働者が自分で自由に決めることが出来る制度です。
フレックスタイム制について、詳しくは以下の記事を参照してください。
フレックスタイム制とは?正しい使い方とメリデメや残業代の計算方法
事業場外みなし労働時間制
事業場外みなし労働時間制とは、社員がオフィス以外の場所で仕事することが多い場合に採用されることがある制度です。
「事業場外みなし労働時間制」について、詳しくは以下の記事を参照してください。
営業職でも残業代は出る!残業代の正しい計算法とよくある誤解とは?
年俸制
年俸制とは、「1年間に決められた時間(残業を予定していない)時間」働くことに対する報酬を年俸として定める仕組みのことです。
「年俸制」について、詳しくは以下の記事を参照してください。
年棒制とは?正しい意味と悪用例!残業代を取り戻す方法を弁護士が解説
まとめ:労働基準法と残業時間
今回は、「労働基準法で定められている残業時間」「残業のトラブルを解決するための方法」などについて解説しましたが、いかがだったでしょうか?
最後にもう一度、今回の内容を振り返ります。
まず、労働基準法では、残業時間について以下のように定められています。
1日8時間、週40時間のどちらかを超えた労働時間
そして、原則的に残業時間には「割増賃金」が払われなければならず、以下の割増率が基礎時給にかけられます。
- 通常の残業時間:1.25倍
- 法定休日:1.35倍
- 深夜残業:1.5倍
- 法定休日の深夜残業:1.6倍
また、労働時間としてカウントされるのは「使用者の指揮命令下に置かれている」時間の全てで、以下の8つの時間はごまかされがちなので、注意が必要です。
- 準備時間:制服、作業服、防護服などに着替える時間、始業前の朝礼・体操の時間など
- 後始末時間:着替え、掃除、清身
- 休憩時間:休憩中の電話番や来客対応などを依頼された場合
- 仕込み時間:開店前の準備やランチとディナーの間の仕込み時間
- 待機時間:トラックの荷待ちの時間
- 仮眠時間:警報や緊急事態に備えた仮眠の時間(特に警備や医療従事者など)
- 研修:会社からの指示で参加した研修
- 自宅の作業:仕事が終わらず自宅に持ち帰って仕事した時間
そして、残業時間に関するトラブルは、
- 労働基準監督署に申告する
- 労働局のあっせんを利用する
- 弁護士に依頼する
という3つの方法で解決することができ、特に「残業代を取り戻したい」という場合は、弁護士に依頼することがおすすめです。
残業代請求には「3年」という時効がありますので、まずは証拠集めから、行動し始めることをおすすめします。
【内部リンク一覧】
「弁護士が解説する「残業の定義」とごまかされやすい8つの労働時間」
36協定とは?基礎知識や残業が違法となるケース、未払残業代の請求方法
残業代が出ないのは違法!会社から残業代を取り戻す2つの方法とは?
残業代請求の時効は3年!時効を止める方法や注意点、例外などを解説
【裁量労働制とは?】弁護士が解説する本当の意味と残業代のカラクリ
フレックスタイム制とは?正しい使い方とメリデメや残業代の計算方法